中古車販売業を法人化(会社設立)するメリット

法人は有限責任

個人で中古車販売業を営むと、借入金や経費の支払いに関して個人が全責任を負います。つまり、仮に個人の財産を売却してでもそれらの債務を支払う義務があります。これを無限責任といいます。

一方で、中古車販売業を法人で行うと、個人と法人は別人格ですので、法人の債務を支払う責任は法的には個人の財産にまで及びません(個人が法人の借入金の保証をしていた場合などを除く)。

自分が会社設立時に出資した金額を限度に責任を負えば良いので、これを有限責任といいます。

法人ならではの節税メリット

給与所得控除

仕事に対する対価を給与という形でもらう方はたくさんいらっしゃいますが、こういった方は、仕事に必要なスーツやカバンを買っても経費にすることができません。

しかし給与を得るための経費が一切認められないのでは、個人事業者に比べて不公平なので、給与収入の金額に応じて一定の経費を認め、給与収入から差し引けることになっています。これを給与所得控除といいます。

個人でも法人でも、売上ー経費=“所得”に対して課税されるという大まかな点では同じです。

個人事業では自分に給与を支払うことはできませんが、法人化して自分に役員報酬を支払うと、役員報酬は法人の経費と認められ、さらに自分がもらう役員報酬からは給与所得控除が認められます。つまり、同じ規模の事業で個人事業と法人を比べると、給与所得控除の分だけ法人の方が所得を減らすことができ、税金が減って手取りが多くなります。

仮に法人の所得が0になるように自分に役員報酬を支払うという前提で比べてみると、所得400万円の人が法人化すると約30万円の税金が減ります。日本の所得税は累進課税といって、所得が高いほど税率が高くなるしくみになっているので、所得の高い人ほど法人化の効果は高く、所得1,000万円の場合は約80万円の税金が減り、所得1,500万円の場合は約105万円の税金が減ります。

自宅家賃を経費にする

もし、現在お住まいの自宅が賃貸なら、大家さんとの賃貸借契約を会社とのものに変更してもらいましょう。

そして、家賃は会社から支払い、会社は入居者(自分)から社宅費として家賃の2~5割をもらうようにします。

そうすれば、家賃の8~5割を会社の経費にできますし、入居者(自分)は安い金額で住めるので、実質的には家賃との差額部分について利益を得ているのですが、その利益部分には所得税は課税されません。

出張日当を経費にする

きちんと出張旅費規程を作ることが条件ですが、そうすれば遠方へ出張した際に出張した人(自分も含む)に出張日当を支払うことができます。

この出張日当の優れているところは、支払った会社側で経費になるのに、受け取った人の側では一切課税されないというところです。

ただし、自分以外の人が出張した際にも出張日当を支払う必要があります。役職により金額に差をつけることはできますので、検討してみてはいかがでしょう。

欠損金を9年間繰り越すことができる

もし、個人事業の中古車販売業で赤字(欠損金)を出してしまった場合、その欠損金を繰り越して、翌期以降の黒字(所得)と相殺できる期間は3年間だけです。

ところが、法人だと欠損金を9年間も繰り越すことができます(資本金1億円以下等の要件を満たす中小法人の場合)。

開業したばかりの1期目は、事務所を借りたり、仕事に必要な備品類を購入したりして、赤字になってしまうことも珍しくありません。

このようなときに欠損金を繰り越していけば、翌期以降に黒字が出ても、欠損金を使い切るまで相殺することができ、その間は法人税が課税されません。赤字は出ないにこしたことはありませんが、もし赤字になってしまった場合にも、きっちり欠損金を使い切ることができるよう、繰り越せる期間は長い方が有利です。

安心感を与える

会社を設立して中古車販売業を行うメリットは、必ずしも節税のためだけではありません。

お客様にとって、中古車は大きな買い物です。やはり個人事業よりも会社として営業していた方が安心感を持ってもらえます。

また、従業員を採用する際にも影響があります。個人名で募集するよりも会社名で募集した方が優秀な人材が集まりやすい傾向があります。

中古車販売会社の設立や会計、決算申告に関するお問い合わせ

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